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黄色いドカと青いドカ YELLOW DESMO and MK-3

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2009年 05月 18日

C90

昨年生誕50年を迎えたスーパーカブ、何処でも見かけるそのバイクに漠然と所有欲はあったのだが、入手に思い切る然したる理由がなかった。
2007年のラウンドツーリング中に、カブ1000キロツーリングの話を聞いた。
24時間ひたすら走るというその無駄のない?ツーリング、それにOHVの僅か50CC程のカブで参加している人達がいるという話を聞いて、デスモでやっとラリーについて行っていた僕は、上には上がいる物だと唖然としてしまった。
ラリーが終わった後1000キロツーリングの事を色々調べてみると“水戸藩カブ”という集まりがそのツーリングを開催しているという事がわかった。
それがきっかけで漠然としていた所有欲が明確に、購入する理由に変わることになる。
そしてあれこれ検討してみるのだが、最も魅力的なスポーツカブ、これは予算的に無理。
次に比較的年式の新しい50CCのカブを買ってボアアップしようと考えるが、なんか飽きそうだなぁ、と断念。
OHVの一連のカブも検討するのだが、自分の手に負えなそうなので早々に諦める。
自分の単車選びはやはりある程度旧い物を基準に行われてる。
50年も生産され続けているカブ、興味が湧く前はどれも同じに見えていたが、知れば知る程、旧いモデルの魅力に気づかされるのだ。
しばらくして、行灯カブというカブがある事を知った。
これはいわゆるポジションランプが付いたカブの事で、60年代の終わり頃から70年代の終わり頃迄生産されていたらしい。
エンジンはOHC、排気量が3タイプあって、特に70ccは比較的入手が容易そうであった。
入手を思い立ったのが2007年の夏が終わった頃、欲しいと思うとなかなかこれ!というのが出てこない。
今年に入って何台かあんどんが出て来て、さらにその中に90ccがあった。
50や70は結構出てくるのだが、90はなかなか出てこない。
レストア途中のなんとか動きそう?なものに決めて、焼津までカブを引き取りに行った。
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さて、引き取って来てからスプリングランに間に合わせる為直ちにC90機能復活プロジェクトを開始した。
入手したC90は行灯カブになった最初のモデルで、正確な年式は不明だが1968年頃に生産された物のようだ。
C90_d0106812_312191.jpg
ブルーグレーと言えば良いのだろうか?独特な色合いである。
当時のカタログを見ると赤や黄色があったようだが、オリジナルでそんなカラーのが残っていたら見てみたい物だ。
年式を調べるにあたってはちょっと色々あった。
正確な年式を知りたくてHONDAに電話をしたのだが、車体ナンバーが存在しないとの返事が返って来た。
ちなみに車体ナンバーは6桁、あんどんで6桁は存在しないというのだ。
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実はCB90でも同じ事があった、6桁の車体ナンバーは存在しないらしい?
しかし後で入手した昭和44年発行のC90パーツリストには、きちんと6桁の車体ナンバーが載っているのである。
この辺のデータが残っていないのは、細かいモデル変更が頻繁に行われていたからか?
いずれにしても、手持ちのバイクの年式を調べる方法はなかなか容易ではない。
カブについては全くの初心者なので、作業に入る前に行灯カブで検索して出て来たサイトにアドバイスを求める事にした。
まずはレッグシールドの脱着、何カ所かで固定されたボルトを外すとエンジンやらキャブ周りが露になる。
初めてのバイクをいじる時は色々な事に戸惑う、キャブも初めて見る物だし、キャブとエアクリーナーを繋ぐゴム製の筒はまるで胃袋の様なグロテスクな形をしている。
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キャブはお馴染みYAMAHAのキャブクリーナーでオーバーホール。
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ゴムパッキン等は当然劣化しているが、このキャブの消耗品なんて入手出来るのだろうか?そもそもキャブの形式すらわからない。
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アクセルや、ブレーキワイヤー類はお決まりのグリース切れ。
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グリスアップするためハンドル周りを分解、ほこりまみれの配線を見てこの辺に何かトラブルを抱えていないか祈るばかりである。
タンクの中も盛大に錆びている、腐ったガソリンの臭いが鼻を突く。
久々に手強そうなタンクだ。
このモデルはフレームと別体式のタンク、固定されたボルトを外す。
ごろんと頑丈そうなタンクだ。
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まずはサンポール投入して様子を見た後、ハナサカ爺さんで処理をするのが、流石に3回目の溶液では充分な能力を発揮出来ず、錆の除去は完全に出来なかった。
とりあえず先を急ぐので後でもう一度処理をするとして、オーバーホールを終えたキャブを組み立てて一旦もとのかたちに戻す。
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バッテリーはご覧の様なこれまた見た事ないのが付いていて、ネットで調べると小さいくせに高価なので代用品を繋ぐ。
キーを捻ると、一体何年ぶりに点いたであろうあんどんの明かりに心癒される。
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イグニッションをオンにした時明かりが付かないと、一気にテンションが下がるものだ。
ぼわ〜と灯る行灯を見ているとこいつは幸先がいいぞ!と気分が盛り上がる。
キックするとプラグからもなかなか良好な火花が出ているので、電装関係はとりあえず大丈夫そうだ、ただホーンが鳴らない。
マカロンの様な形をしたホーンを取り外して分解してみる。
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ポイントの様な接点が腐食して固着していた。
紙ヤスリで磨いて組み付け、スイッチを押すと、ベーーと昭和の音がした。
さらにウインカーリレーが駄目になっていたのでCB50から取り外して付ける。
もろもろ組み付けて、いよいよキックしてみる。
キックはスコッとあまり圧縮が感じられないが、まぁこんなものか?
どんな管理がされていたか不明だが、距離計を信用するならばまだ7000キロくらいしか走行していない。
何度かキックしてみるが、空を蹴るばかりでエンジンは一向にかかる気配がなかった。
やはりそう簡単ではないか、一気に低空飛行になった気分を落ち着け、作業を中止して一服する。
火花が出ているのに爆発の気配がないのはおかしい。
どんなに調子が悪くても火花が出ていれば、何らかの兆候があるはず。
冷静になってキャブを点検してみると、なんとガソリンが一滴も来ていない。
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もう一旦キャブをバラして穴という穴にキャブクリーナーを吹きかけるが、んんっ、なるほど、はぁ、、、、コックを逆さまに組んでいた。
これでは一生待ってもガソリンは来ないだろう、、、、。
コックを付け換えてガソリンがキャブに行き渡った事を確認する。
気を取り直してキックをすると今度は2、3回でエンジンが掛かった!
エアスクリューを目一杯絞ってあったのでババババッと回転数は上がるが、あぁ〜聞いた事のある、あのカブの音である。
アイドリングを調整して、独特なギアチェンジに戸惑いながらぐるっと近所を走ってみる。
うしろに一回踏んで1速、前に二回踏んで2速、さらに前に踏んで3速。
2速に入れる時が難しい!しかし、面白い!
一体何キロ出るんだろうか?メーターを見ると針が動いていない。
メーターワイヤーが腐食して根元から腐っていた。
とりあえずワイヤーは注文するがスプリングランには間に合わず現状で参加した。
1000キロ走るにはまだまだこれから、スプリングランをのろのろと完走して、C90の一幕目が終わる。

by arata350 | 2009-05-18 19:04


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